今、企業のあり方が大きく変わりつつあります。利益を追求するだけでなく、社会や地域の課題に向き合い、持続可能な価値を生み出すことが求められています。その中で注目されているのが、ソーシャルビジネス(SB)とコミュニティビジネス(CB)という2つのアプローチです。ソーシャルビジネスは、貧困、教育格差、環境問題、障がい者支援など、社会全体に関わる課題に対して、ビジネスの力を使って持続的に解決を目指す取り組みです。企業は収益を得ながらも、その利益の一部または全体を社会的な目的のために活用し、事業の継続と社会への貢献を両立させます。活動の範囲は地域に限らず、全国や世界へと広がることもあり、SDGsやESG投資との親和性が高いのも特徴です。
 このような取り組みは、慈善活動とは異なり、社会的価値と経済的価値の両立を図る、企業の成長戦略のひとつとして位置づけられています。コミュニティビジネスは、地域住民、地元団体、そして企業が主体となって、地域特有の課題に取り組む事業です。たとえば、高齢化、空き家の増加、商店街の衰退など、地域が抱える課題に対して、地元の資源や人のつながりを活かして解決を目指します。利益よりも、地域の暮らしの質や人と人との絆の再生を重視し、地域の持続可能性を高めることが目的です。企業がCBに関わることで、地域との信頼関係が深まり、共に価値を生み出すパートナーとしての関係が築かれます。
 ソーシャルビジネスとコミュニティビジネスに共通するのは、「社会課題・地域課題を自分ごととして捉え、持続可能な方法で解決する」という姿勢です。SBは広域的な課題に挑む戦略的なアプローチであり、CBは地域に根ざした実践を通じて、生活者の視点から社会に前向きな変化をもたらす可能性を秘めています企業は社会的な課題に向き合いながら、信頼やブランド力など、自社の価値を同時に高めることができます。

事業